ワタシは洋書の多読に挑戦していますが、洋書多読の心得のひとつに「辞書を引かない」というのがあります。
これは、洋書を読んでストーリーの展開を楽しむためには、読書の流れを中断してしまう「辞書を引く」という「作業」をしないようにすることと、日本語訳をしないで英語の文章をたくさん読んで楽しむことに集中すべきだということを強調するための方法だとワタシは理解しています。
辞書がまったくもって不要ということを言っているわけではないのです。
洋書を読んでいるときに、分からない単語をひとつ調べたことにより、意味がはっきりと理解できてよりストーリーを楽しめるというケースも確かにあります。
多読の基本的な考え方は「楽しんでたくさん読む」ということにあるとワタシは思っているので、楽しむことを妨げない範囲で辞書を利用するのは良いことだと思います。
紙の英語の辞書について
紙の辞書か電子辞書もしくはWEB辞書かという議論もあります。
どっちが良いかという二者択一の議論になりがちですが、どちらにも良い点があるわけので、それぞれの利点を活かす使い方をすれば良いと思います。
紙の辞書の利点は、やはり一覧性です。
辞書を開いてページをめくるたびに脳はそこに記載されている情報をスキャンしていると感じます。
見ていないようで見ているのです。
紙の辞書を引いているふと目にとまる単語がたびたびあります。
向こうから目に飛び込んでくる、そんな感じです。
その単語は、昨日聞いた単語だったり、おととい読んだ単語だったり、暗記に必死になっていた単語だったりします。
そんな経験があるひとも多いでしょう。
パラパラとめっくていても目から脳に情報は伝わっているのだと思います。
新聞などでも同じようなことがおこります。
ざっと新聞を眺めていると自分の興味のある記事が目に飛び込んでくるのです。
すごい小さい記事でも自分と関連のある記事に目がとまるのです。
WEBではなかなかこんな経験は起こりにくいです。
脳が瞬時に多くの文字情報を処理するには、PCやスマホの画面の広さでは情報量が少なすぎると思うのです。
パッとみて脳にインプットとされる情報量は新聞や辞書の「一覧性」にはとうていかなわないと思います。
紙の辞書の一覧性の良さから目に飛び込んでくる「おもしろ情報を読む」ことが、最近のワタシの辞書の楽しみ方になっています。
英語の辞書を楽しむポイント
英語の辞書を大学入試や高校入試のために利用する場合は、利用すべき辞書も違ってくると思います。
中学3年の一年間や高校の3年間の間に同じ年齢の他の人たちよりも素早く学習できたかどうかが試される受験のためには、受験用に工夫され特化している辞書を利用すべきだと思います。
英語をやり直すため、英語を楽しむため、英語を使って会話を楽しむなどの場合には、辞書を選ぶポイントや使い方は違ってくるのではないかと思います。
ワタシの辞書を楽しむためのポイントは3つです。
- 字が大きくて読みやすい(一覧性に富む)
- 見やすくて楽しい(工夫に富む)
- 用例が豊富で楽しい(利便性に富む)
気が付けばだいぶ辞書が増えてきました。
それぞれの辞書をこれらの観点からレビューしてみましょう。
英英辞典
LONGMAN WordWise Dictionary
- 一覧性に富む ★★★★★
- 工夫に富む ★★★★★
- 利便性に富む ★★★★★
- CFERレベル A2B1
英語の辞書を読みながら英語の多読もできてしまうという優れもの。
なにせ全て英語なので英語に浸るにはベストな辞書、というか読物。
この辞書があまりにも気に入りすぎて、2冊買って一冊は自宅用もう一冊は仕事場に置いている。仕事場ではちょっとした空き時間に手に取って辞書を読んでいる。パラパラめくって目にとまったページをじっくり読むのもよし、今日は「R」の赤字の2000語を読もうなどと楽しみながら読んでいます。
まず、字が大きい点が良い。
文字の大きさがワタシにはピッタリサイズです。
老眼気味のワタシには辞書を開いて目をこらすというのが一番の苦痛になります。苦痛があると辞書を引かなくなってしまいます。パッとひらいて「見やすい!」というのがこの辞書の感想です。カラーでイラストも豊富で楽しいです。
さらにロングマンは2000語で見出し語が定義されているのがお馴染ですが、その2000語がこの辞書では赤字で見出し語になっています。つまり、この辞書をパッと開いて赤字の単語を知っているかどうか、知らなければそこを読んでみるなんていう使い方もできます。2000語をマスターすれば英語の80%を理解できるとロングマンの辞書の冒頭に書かれています。この2000語を攻略するにもこの辞書は最適だと思います。
次に、イラストが豊富でそのイラストが結構笑えるのです。
実は例文もおもしろいのが結構ありますが、イラストを見ているだけでも楽しいです。
基本動詞give,make,takeあるいはmeanなどは、図解のページがあります。
基本動詞を英語のままイメージで定着させるにも良いと思います。
例文は当然ながらネィテイブな英語ですのですぐにでも使ってみたくなるような例文が豊富です。
ちなみにワタシはCD版のCD欠品の中古本を安く買うことができました。
アマゾンでもときどき掘り出し物的な値段になっているのは、CD欠品です。
古いCDは古いウィンドウズでないと動かないのでしょうが「本の中身は同じ」です。ワタシはCDは不要なので、CD欠品で値下げされているものこそ超掘り出し物になるのです。しかも中古なら3~4冊買ってもまだ新品より安いくらいで中身は同じなのです。
obeyな犬のうれしそうなアクションがかわいいです。
desobeyな犬のお尻がかわいいです。
He's got his shirt on back to front.
もう、このイラストで ”on back to front” は覚えられますね。
There isn't enough cake for everyone.
男3人で二つのケーキを見つめあう。
シュールすぎる場面でこれからの展開を想像して笑わずにはいられない。
サムのTシャツがやばすぎる。
基本動詞はこんな感じで図解されています。
CEFRレベルもA2からB1レベルで収録数は38,000の単語とフレーズです。このレベルをきちんと使えるレベルまでマスターするには数年かかるでしょうから、たいていのことはこの辞書で充分でしょう。
LONGMAN Dictionary of Contemporary English
- 一覧性に富む ★★★★☆
- 工夫に富む ★★★★★
- 利便性に富む ★★★★★
- CFERレベル B2C2
LDOCEと呼ばれる英英辞典の花形。
人気の辞書ですね。
人気なんですが、値段もそれなりの値段でその分なのか本自体も大きいです。
大きい辞書なので持ち歩きは無理でしょう。
大きい辞書なので情報量にしては字の大きさも目を凝らさなくても大丈夫なレベルですが、WordWiseと比較してみるとやはりやや小さいです。
こちらの辞書は、WordWiseで調べて例文が少ないなあと感じた単語があったため、もう少し大きめの辞書が必要かもと思い購入しました。
こちらの辞書で調べてみるとやはり例文が2~3文ほど多く載っている印象です。
ネィテイブな例文を多く読みたい時にはこちらの辞書を引く感じで利用しています。
こちらの辞書は現在最新版は第6版です。
ワタシが購入したのは、中古でCD欠品の第4版。中古の型落ちで、激安でした。
ワンコイン以下でこの良質な「例文集」を座右に置けるというのは、ワタシにはとても価値があります。
もちろん、最新版の辞書が欲しいという方はそちらで良いと思いますが、ワタシのような用途には型落ちでも十分なのです。
フルカラーの構成は見やすいです。
イラストも写真も豊富で楽しめます。
囲み記事もとても良いです。
多義語を単発の単語でそれぞれ表現して解説している部分はとても参考になります。
定評通りの辞書ですが、果たしてこれを使いこなしているひとがどれだけいるのかは、疑問です。
CFERレベルはB2C2と最高レベルまでカバーされています。
座右に置いておきたい一冊。(もちろんインテリアにも最適)
LONGMAN Basic English Dictionary
- 一覧性に富む ★★★★★
- 工夫に富む ★★★★★
- 利便性に富む ★★★☆☆
- CFERレベル A1A2
洋書の多読をはじめて間もなく、「今まで英語を勉強しているときに、実は日本語を読んでいる時間の方が長かったのかもな」と疑問に感じて初めて買った英英辞典。
イラストも豊富で楽しい。薄くて気軽に持ち歩ける点も良い。
一時はこれを全部最初から最後まで読もうかとも思ったくらい。
しかし、青字と黒字の2色刷りは、ワタシはなぜか眠くなってしまう。
なんとなく単調なのだと思う。
イラストも優しいタッチでとても良いのですが、カラーだったらもっと良いのになあと思ってしまうのです。
また、本自体が薄いので例文が少なくて少し物足りないと感じてしまい、すぐにWoseWiseを買うことになりました。
CFERレベルはA1A2と入門版です。しかし、入門にしては例文と解説を絞りすぎたかなという印象です。
ロングマンの辞書はレベル分けがされている
ロングマンの辞書はレベル分けがきちんとされています。
書店に置いてあったロングマンのカタログ(ピアソン・ジャパン(株))を見てそれを発見しました。
入門・初級・中級・上級といったレベル分けに加えてTOEICレベルも合せてあり、しかもCEFRでのレベル分けもされています。
ワタシは最近はCEFRのレベルを特に意識しています。
CEFRは日本人のほとんどがA1レベルと言われているそうです。
それは英語が満足に「話せない」とそのくらいのレベルになります。
TOEICも実際はL&Rのリスニングとリーディングの点数ばかり日本では意識されていて、TOEIC高得点者の日本人のほとんどが満足に英語が話せないという弊害が起きています。
NHKのラジオ英語講座もこのCEFRを採用していて、たとえば「基礎英語2」はCFER「A1・A2」レベルの会話水準で、ワタシの現在のレベルではテキストなしで100%理解できる水準です。「基礎英語3」はCFER「A2」レベルの会話水準ですが、結構スピードがはやくついていけないところが多いです。
実際のワタシの英語のレベルは、たぶんそんなものだろうなと感じます。
A2レベルをテキストなしで楽に聞きこなしてシャドーイングできるようになるのが当面の目標かなと思います。
WoseWiseはCEFRレベルもA2からB1レベルなので今のワタシにピッタリだと分かります。また、LDOCEのCFERレベルはB2C2と最高レベルまでカバーされていますので、ワタシにとっては、この「LONGMAN WoseWise Dictionary」と「LONGMAN Dictionary of Contemporary English」2冊があれば充分だと言いうことがわかります。