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散漫ライフ

最先端のアルコール依存症治療の実態

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ナショナルジオグラフィックなんて雑誌はほとんど読んだことがない。
kindle unlimitedの無料お試し期間を利用して
色々と雑誌をザッピングしているなかで、
「依存症」というタイトルに目を引かれた。

なんとなくわかってはいたけど、
色々と気づきがあったので、備忘録としてまとめておく。

依存症は学習を重ねた悪習慣

アルコール依存症に陥っているのは、世界の成人のほぼ20人に1人だ。ギャンブルをやめられないなど、行動への嗜癖も精神疾患に分類されつつある。

20人に1人とは、5%である。

会社の部署20人なら、そのうち1人はアルコール依存症である。
まあ、それ以上に予備軍はいると実感できる。

体感的なイメージにほぼ近い数字だと思う。

一方で、
厚生省研究班の調査ではアルコール依存症者は100万人だとされたいる。
2013年 厚労省研究班「ICD-10診断基準によるアルコール依存症者」
日本の成人人口を1億人とすると、
1%となる。

数字が合わない。。。

日本の研究や調査は、アルコールメーカーの意向も忖度されているだろうから、はじめから正確な数字のはずがない。

近年の研究で、依存症者の脳内では欲求、習慣の形成、快楽、学習、感情の制御、認知にかかわる神経ネットワークとその働きが妨げられていることが分かってきた。脳が持つ驚くべき可塑性(柔軟に変化できる物質)があだとなり、依存症に陥ると神経回路が変わって、薬物やアルコールを最優先するようになってしまう。
その結果、患者は健康や仕事や家族、さらには自分の命まで犠牲にするようになるのだ。
依存症は病的な形での学習ともいえます」と、米国立薬物乱用研究所(NIDA)の神経学者アントロネット・ボンチは話す。

脳は柔軟である。

なんでも受け入れ対応しようとする。

それは本来環境に柔軟に対応し生き延びていくためにDNAに刻まれたシステム。

しかし、アルコールを常用すると、それを最優先するように脳の神経回路が作られてしまう。
常用を繰り返すことで、それが重要であるかのように脳が学習し、アルコールを最優先してしまう。

要するに、バカ、なのである。

可塑性によって脳がバカになってしまい、悪習慣を求める脳に変化してしまったのである。

報酬が得られるので繰り返してしまう、サル

「人間は報酬をとても鋭敏に感知します」と、米ペンシルベニア大学依存症研究センターの臨床神経科学者アナ・ローズ・チャイルドレスは言う。「これは進化がもたらした特徴です」

報酬系は脳の原始的な回路で、ラットの脳でもあまり変わらない。その働きにより、人間は目や耳、鼻を駆使して、生存に必要なものの在りかを突き止めようとする。報酬系は本能と反射をつかさどる脳領域にあり、食べ物や繁殖相手をめぐる競争が死活問題だった時代には大いに役立ったが、欲望を満たす機会がいくらでもある現代では、私たちを陥れる危険な罠ともなる。

報酬系が「本能」と「反射」の脳領域にあるとは、たちが悪い。

アルコール依存症になると、本能でアルコールを求め、本能で反射的に飲んでしまうということになる。

まあ、連続飲酒とは、まさにその状態だ。

欲求が脳内で生じる過程は極めて複雑だが、その引き金になると考えられているのは、脳内の神経伝達物質の一つであるドーパミンの急増だ。

ドーパミンは脳内でさまざまな役割を果たしているが、依存症との関係でいえば、ドーパミンの放出により、専門用語でいう「サリエンス」(際立ち)が強まる。白い粉を見ただけでコカインを連想するなど、特定の光景や音やにおいに際立った反応を示すようになるのだ。薬物乱用が脳に与える作用は薬物の種類によって異なるが、ドーパミン値が正常な範囲よりはるかに高くなる点は共通している。

学習を通じて、報酬を想起させるきっかけを感知しただけで、ドーパミンが大量に放出されるようになる。

ドーパミンとは、快楽ホルモン。
アルコールによって快楽ホルモンが出すぎてしまい、快楽(報酬系)に脳が喜んでしまう。
ノド越しを連想して、快楽ホルモンが出すぎてしまう。
飲めばやっぱりドーパミンが出すぎてしまい、快楽に浸れる。
快楽という報酬を学習して強固にしてしまう。
また、あの快楽が欲しい。ドーパミンが欲しい。
だから、また次の日もアルコールを飲みたくなるのである。

もう、アホとしか言いようがない、反射本能システムである。

最先端の依存症治療法

依存症の治療には二つの考え方がある。

一つは脳内の化学物質のバランスを改善する薬物療法等を治療の中心に据えて、心理療法や社会的支援を補助とする立場。

もう一つは、心理療法を中心に据え、渇望や離脱症状を緩和するために補助的に薬を処方するという考え方だ。

いずれの陣営も既存の治療方法では不十分だと認めている。

つまり、一般的な依存症の治療方法では限界があるというのが

最先端の依存症治療の現状なのだ。

米ワシントン大学の研究チームの分析では、薬物依存症の再発防止にはマインドフルネスの方が12ステップのプログラムよりも有効という結果が出ている。

マインドフルネスでは、激しい欲求が起きても、それに反応せず、ただその欲求に意識を向けるように練習を積む。

なぜ耽溺したくなるのか、その源にある感情に気が付くことも大事だ。

マインドフルネス研究所のブルーワ―らの研究で、瞑想すると脳の「後帯状皮質」という領域の活動が抑えられることが明らかになった。この領域は同じことを繰り返し考える「反芻思考」と関わりがある。これは強迫観念を強めやすくする思考だ。

米国ではマインドフルネスブームである。

マインドフルネスとは、ヨガや禅や瞑想にそのルーツがある。

西洋医学と真反対にある東洋的な考え方が、米国で見直されている。

実際、私は断酒をはじめる半年くらい前からヨガを教わりはじめ、断酒の禁断症状を毎朝の太陽礼拝で落ち着かせていた。

ヨガと依存症の関係を知らずにはいたけれども、自然とアルコールに対する執着をヨガと瞑想を通じて振り払おうとしていたようである。

また、飲み会に飲まずに参加する機会が多くて実際は辛いのだけれど、アルコールではなく、食べることを楽しみにするように切り替えをした。

飲んでいる人たちは、食べるスピードが遅くなるので、「自分は飲まないので、これ頼んでいいでしょ」とウニやイクラ、ステーキや馬刺し、ヒラメの縁側、フグのから揚げなどなど、色々と好きなもの、高いものを頼んでしまうようにした。

飲まない飲み会では、美味しいものを食べまくる!

実際は「割り勘負けの防止」なのであるが、ここにもヒントがあった。

ドーパミンと同じ「脳内ホルモン」のひとつに、
セロトニンという「幸せホルモン」がある。

おいしいものを食べると、このセロトニンが出るのだ。

アルコールを見てドーパミンが出て、飲みたくなってしまっても、
おいしいものをいっぱい食べてセロトニンを出せば良い。

そうすれば、飲まずに幸せいっぱいの気分になれるのである。

また、「幸せホルモン」のセロトニンは「リズム運動」をすることでも脳内に分泌されるのです。

断酒の先輩の中にはランニングやウォーキング、水泳や筋トレなどをやっている人たちが多い。

ワタシもランニングや筋トレやスイミングなど、断酒の辛さを紛らわすかのようにそんな運動をしていたのです。

ドーパミンという報酬ではなく、セロトニンという幸せ報酬を自分の脳に与える。

つまり、「執着」という何度も反芻して考えてしまう雑念をヨガやマインドフルネスの瞑想で取り払い、リズム運動などを通じて脳内を幸せホルモンで満たすのです。

 

上記引用:ナショナルジオグラフィック日本版 2017年9月号「脳科学で克服する依存症」より

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