洋書の多読に挑戦するにあたり一考すべきテーマとして「辞書を引かずに読む」というのがあります。辞書を引かずに読むべきか、引きながら読むべきかという議論です。
ワタシは日本語の小説を読んでいるときに辞書を引くことがないことと同じように、洋書を読んでいるときも辞書は引かない方が良いのだろうと思います。
ワタシもはじめは洋書を読む際に辞書を引かないことには疑心暗鬼でした。
絵本レベルでも知らない単語が出てきます。
知らない単語が出てくるとなんだかムズムズしてしまいます。
それでも知らない単語は飛ばして読んで行くようにしていました。
少しレベルを上げて子供向けの洋書を読んで行くと知らない単語が割と多めに出てきます。
もっとムズムズしてきます。
それでも我慢して辞書は引かずに読んで行きます。
辞書を引かずに読めるのでしょうか?
これが、読めるのです。
読めるというか「ストーリーを追うことができる」と言う方がピッタリかもしれません。
話の展開が分かればけっこう楽しむことができるものなのです。
- ストーリーを楽しむことを第一にして知らない単語は飛ばして読む。
- 分からない単語は飛ばして気にしない。
そして繰り返し同じ単語が登場してきたりするうちに、自然とその単語の意味も体感できるようになってきます。
それは日本語の逐語訳とは、ちょっと違う感覚なのです。
意味はストーリー展開から分かるけど「日本語に言い直すとどういう意味なのかと言われるとちょっとこまる」そんな感じです。
- そんなのでは読んだうちに入らない。
- そんなことではTOIECの問題に答えられない。
- そんな読み方は邪道である。
- そんな読み方では分からない単語はいつまでたっても覚えられないではないか。
そんな風に思うでしょうか?
そんなことはありません。
たしかに1ページ読んだくらいでは読んだうちにも入らないし、TOIECが解けるようにもならないし、単語も身に付きません。
しかし、英単語帳を必死に繰り返しては忘れて自信を失うよりも、洋書を辞書なしで読んだ方が、のちのちはるかに効果が出てくるのだと思います。
子供時代の本の読み方はどんな感じだっただろうか
幼少時の読書を思い返すとこれと似たような状態であったことが分かります。
「ズッコケ三人組」「ファーブル昆虫記」「伝記」のような本を良く読んでいました。
と言うよりむしろ夏休みの課題などで読まされていたのかもしれません。
課題とは言え、ズッコケ三人組のようなシリーズ物はストーリーが面白くてどんどん読んでいたように思います。
分からない単語もあったでしょうが、ストーリーが面白いので一冊読破しては次のシリーズへと進んで行きました。
一方で、国語の時間は苦手でした。
国語の問題もさっぱり分かりません。
・漢字を書く問題。
・言葉の意味を答える問題。
・登場人物の心情を答える問題。
物語は読めるし楽しめるけど、細部に渡っての質問には答えられない。
だからと言って文章を理解していないかというとそうでもなく、だいたい理解できているのです。
意味はストーリー展開から分かるけど「どういう意味なのかと言われるとちょっとこまる」そんな感じです。
特に大学入試レベルの文章読解問題はテクニックを駆使しても答えられませんでした。
大学レベルの長文読解問題を克服するためにはそのテーマについての予備知識も必要です。
環境問題をテーマとする話ならまだしも「ジェンダー」とか「ダイバーシティ」と言われてもその予備知識がないと解答は難しいです。
また、抽象的な表現が多く使われる評論文などを読むにも独特の表現に慣れておく必要があります。
そのため必要なことは、テクニックよりも先に、大量の文章を読むことがでした。
洋書を読むのも実は同じなのです。
ストーリーを楽しむことと、問題に答えることとは別なのです。
最近オンライン英会話の体験授業を受けた時に先生たちに「どんな勉強したら良いか」とたずねてみました。
多くの先生は「たくさんの本を読むこと」と答えてくれました。
「自分の興味のある楽しめる本をたくさん読むこと」と。
ボキャブラリーは多読で増える
「mean」という動詞があります。
この意味は分かりますか?
そうです。「mean」は「…を意味する」という意味です。
受験用の単語帳で暗記をしたことのある方なら、超基本ワードでしょう。
この単語、次のような感じで物語には登場してきます。
夜中の警察からの電話で母親の自殺を突然知らされた婚約中のトレーシー。
母親は自殺するような人ではなかった。
優しくて裕福だし会社経営もうまく言っていたはずである。
私のお腹にいる赤ちゃんにももうすぐ会えるはずだったのに、母親が自殺する理由なんてない。
理由を求めていくと、どうやらロマーノという男に騙されて全財産を獲られたことが原因のようである。
許せないロマーノ。
真相はどうなのか。
トレーシーはロマーノを問い詰めるために途中で拳銃を買い、ロマーノに会いに行く。
ロマーノの家の前でロマーノに会い、家の中に入ることに成功したトレーシーは自分が自殺した母親の娘であることを告げる。
そして拳銃をロマーノに向けて問い詰める。
ロマーノは「君には撃てないよ」とトレーシーを小馬鹿にしながら、トレーシーがひるんだすきに拳銃を払い落す。
そしてトレーシーに襲い掛かる。
女性の力では男性に抑え込まれたら身動きも取れない。
トレーシーに馬乗りになったロマーノは男性の本性を現しはじめる。
(おねえちゃんいいからだしてんじゃねえかよ)
無我夢中で男から逃れようと必死でもがく。
しかし非力なトレーシーでは男の力にはかなわない。
その時トレーシーの手に、床に落ちていた拳銃が触れる。
と同時に拳銃の大きな音が鳴り響く。
我に返ると床は血だらけ。
ロマーノは血を流している。
気が動転したトレーシーは救急車を呼ぶために電話をする。
そしてそのままタクシーに乗り飛行場へ向かった。
ああ、なんてことをしてしまったのか。
あの男は助かるだろうか。
このまま死んでしまったら私は殺人者になってしまうのか。
飛行場についてすぐ飛び立つチケットがあるかカウンターで問い合わせると、ちょうど20分後に出る飛行機に空席が一つあるらしい。
そこへ警官がふたりやってくる。
トレーシーさんですね。
あなたを逮捕します。
手錠を掛けられたトレーシーはそまま拘置所へ連行される。
電話を掛けさせてほしい、説明をさせて欲しいと懇願してもほとんど聞いてもらえない。
聴取は明日の朝行われると告げられ、冷たい牢屋で一夜を過ごす。
婚約者に連絡もできない。
私の話をだれも聞いてくれない。
このまま私は殺人者になってしまうのか。翌朝、殺人の容疑で取り調べを受けるトレーシーが言う。
It was an accident.
I didn’t mean to kill him.引用:「If Tomorrow Comes」Sidney Sheldon
いかがでしょうか。
ここで登場する「mean」の意味が鮮明にイメージできましたか?
こんな風にストーリーの中で登場してきたフレーズは、もう、忘れないことでしょう。
単語帳で2~3日の間だけ無理やり覚えて1ヶ月後にすっかり忘れてしまうような不毛な覚え方とは違うのです。
無料で大量に洋書を読む方法
ちなみにこのSidney Sheldonの洋書を私は無料で読んでいます。
https://openlibrary.org/
オープンライブラリーという「無料のオンライン図書館」です。
ワタシはiPhoneやiPad、PCで読んでいます。
ブラウザで読めるので色々な機器で場所に応じて読むことができるのです。
ただし、キンドルには対応していないのが残念なところです。
(このkindleの自由度の低さがワタシがキンドルの購入に至らないのひとつ理由です。)
iPhoneでは移動中の電車内などでよく読んでいます。
少し画面が小さいので画面を横にして拡大して読んでいます。
本の一部しか表示できないのでなんだか窮屈ですが、スクロールはスムーズですので、読むことに支障はありません。
快適に読めるとまではいきませんが、無料ですから贅沢は言えませんね。
これで十分です。
充分読んで楽しめます。
↓こちらはiPhoneでSidney Sheldonの「If Tomorrow Comes」を読んでいるところ。
iPadは読みやすいです。
もはや完全なるペーパーバックを再現できます。
ワタシのiPadはwifiのみなので、wifi環境のある自宅などで読むにはちょうど良いです。
こちらは超快適です。
しかも無料だなんて贅沢の極みです。
↓こちらはiPadでSidney Sheldonの「If Tomorrow Comes」を読んでいるところ。
iPadは本物のペーパーバックを読んでいるかのようでしょ?!